のどか日越クラブ Nodoka Việt Nhật

日本国内でベトナム人労働者層に日本語を教えるための情報交換や意見交換、調査、研修を行うコミュニケーション・スペースをつくってみようと考え、このアカウントをつくりました。日本国内でベトナム語も適宜活用しつつ日本語を教える方法やベトナム人労働者層向きの教材調査・研究も手掛けたいと思っています。よろしくお願いいたします。

新元号の発表と改正入管法の施行が行われた1日

 みなさま、こんばんは。

 のどか日越クラブです。

元号の発表

 今日(2019年4月1日)、日本政府が新元号「令和」を公式に発表しました。

https://www.kantei.go.jp/jp/98_abe/statement/2019/0401singengou.html
平成31年4月1日 安倍内閣総理大臣記者会見

 日本国内では大変大きな話題を呼んだニュースであり、当エントリーをお読みのみなさまもすでにご存知であろうかと思われます。

 一例ですが、朝日新聞に下記のような記事が掲載されているようです。

https://www.asahi.com/articles/ASM3Z4V6QM3ZUTFK007.html

元号は「令和」(れいわ) 万葉集典拠、国書由来は初

 ベトナム語メディアでも、"Tuổi Trẻ"や"VnExpress"などのメディアで取り上げられたようです。

 "Tuổi Trẻ"が日本の新元号を取り上げた記事は、下記の記事です。

https://tuoitre.vn/lenh-hoa-la-nien-hieu-vuong-trieu-moi-cua-nhat-ban-tu-1-5-20190401101456542.htm

'Lệnh Hòa' là niên hiệu vương triều mới của Nhật Bản từ 1-5

 "VnExpress"の記事は、下記の記事です。

https://vnexpress.net/the-gioi/nhat-ban-cong-bo-nien-hieu-trieu-dai-moi-3902808.html

Nhật Bản công bố niên hiệu triều đại mới

 両記事ともに、日本の新元号「令和」をベトナム語では"Lệnh Hòa"と紹介しているようです。

改正入管法の施行

  今日(2019年4月1日)は、昨年秋に臨時国会で可決された改正入管法が施行された日、スタートした日でもあります。
 今日施行されることになった改正入管法は、新しい在留資格・ビザである「特定技能」を設けることで日本政府が正式に外国人労働者(日本政府は公式には「外国人材」と称していますが)の受け入れを初めて行うことを主旨とすること等を盛り込んでいるようです。
 また、法務省の入国管理局に代わり出入国在留管理庁(入管庁)が発足した日でもあるようです。
 朝日新聞の記事が朝刊の紙面の1面で取り上げていたようです。下記のURLの記事です。

https://www.asahi.com/articles/ASM3Z42VPM3ZUTIL007.html

外国人就労拡大へ、新制度スタート 「入管庁」発足

https://www.asahi.com/articles/ASM3053T3M30UTIL01C.html

外国人受け入れ拡大、見切り発車 過半数が窓口開設なし

 以前もご紹介しましたが、法務省のウェブサイト中に新設された特定技能という在留資格に関してまとめているページもあります。

 http://www.moj.go.jp/nyuukokukanri/kouhou/nyuukokukanri01_00127.html

新たな外国人材受入れ(在留資格「特定技能」の創設等)

どちらのニュースが日本社会に大きな影響を与えるのでしょうか?

 今日(2019年4月1日)、テレビや新聞などのマスメディアの報道やツイッターフェイスブックなどのソーシャルネットワークサービス等を大ざっぱに観察したかぎりでは、新元号の発表にまつわる報道や情報が多くの人たちの話題となっていたようである一方で、改正入管法施行に関わるニュースはそれほど目立たず、一部のマスメディアの報道、一部の識者の方々、外国人の受け入れにご関心やご興味をお持ちの方々の間で、ひっそりと地味に意見交換や感想の表明等が行われている(に過ぎない)ように見受けられました。

 今後の日本にとって、日本政府が実質的に外国人労働者を受け入れる政策に転換したと思われる改正入管法の施行のほうが、今日は多くの日本人の間で大いに盛り上がった新しい元号より、日本社会に多大な影響を与えるのではないだろうか、と考えています。

 当エントリーをお読みいただき、ありがとうございました。お読みいただいた方々のご参考になれば幸いです。 今後ともよろしくお願いいたします。

日本語の「あなた」や「私」など「誰が」ということを言わないで済ませるという特徴2

 

 みなさま、こんばんは。

 のどか日越クラブです。

( 当エントリーは下記のエントリーの続編です。

https://nodokavietnhat.hatenablog.com/entry/210000

日本語の「あなた」や「私」など「誰が」ということを言わないで済ませるという特徴1

 もしまだお読みでなければ、上記のエントリーも合わせてお読みいただければ幸いです。)

 前のエントリーで、放送大学の「日本語リテラシー」という授業の第11回で、「きさま」や「おまえ」などの相手を呼ぶ言葉が過去から現代にかけて使われ方が大きく変わったことから考えて、将来の日本語でも目上の相手のことを呼ぶ言葉や自分のことを呼ぶニュートラルな言葉などが相手を見下す言葉になるのではないかと予想されていることを説明しました。

 滝浦氏によると、日本語という言語は「あなた」や「私」など「誰が」ということをできるかぎり言わないで済ませるという特徴があり、「あげる」や「くれる」という動詞、敬語などを駆使することで「あなた」や「私」などを明示的に言わないように済ませるという特徴もあるということのようです。
 そのような特徴があるために、相手を呼ぶ言葉をくっつけると、どのように丁寧に言ったとしても、何となく相手を指さしているような強い感じが出てきてしまう、ということがあるようです。
 また、自分を呼ぶ言葉をはっきりと言うことも、「俺が~、俺が~」というような自分を大きく見せることで相手が下がってしまうという傾向がある、と指摘されていました。

 (先ほどの例のように)元々は目上の相手を上に置く言葉も、時代を経るにつれて、敬意がすり減っていく、という傾向は、現在の日本語においても、変わっていないのではないか、とのことで、佐久間鼎氏という心理学者の方がそのような傾向を「敬意逓減の法則」という法則として提唱されていることを紹介されていました。

 

 日本語はできるかぎり「あなた」や「私」など「誰が」ということを言わないで済ませようという特徴がある一方で、ベトナム語はできるかぎり「あなた」や「私」など「誰が」ということを言う(ことで相手に対する敬意を表現する)特徴があるように思われますベトナム語のそのような特徴に関しては、後日、機会をみつけてあらためてご紹介したいと思っています。

 

 当エントリーをお読みいただき、ありがとうございました。お読みいただいた方々のご参考になれば幸いです。

 今後ともよろしくお願いいたします。

日本語の「あなた」や「私」など「誰が」ということを言わないで済ませるという特徴1

 みなさま、こんばんは。

 のどか日越クラブです。

 以前のエントリー

https://nodokavietnhat.hatenablog.com/entry/2019/02/02/110000

助詞の「へ」と「に」、「~へ行く」と「~に行く」というときの使い分け

でも取り上げましたが、放送大学の「日本語リテラシー」という授業科目があります。その授業の第11回の再放送の録画を視聴しました。

(2019年度にも開講されるようです。下記のURLに授業のシラバスがあります)。

https://www.wakaba.ouj.ac.jp/kyoumu/syllabus/PU02060200211/initialize.do

日本語リテラシー(’16) Literacy in Japanese ('16) 主任講師名:滝浦 真人(放送大学教授)

 その「日本語リテラシー」の「第11回 考えるスキル③:考えを導く方法」で、言わないで済むのなら、日本語は「あなた」や「私」など「誰が」ということを言わないで済ませるという特徴があるのではないかということを指摘されていて、とても興味深く思いました。

 以下にまとめておきます。

 滝浦氏のお話によると、

  • 日本語で相手を呼ぶ言葉はたくさんあり、「あなた」や「君」、「おまえ」などいろいろあるのだが、目上の人に対してスマートに使える言葉が(あまり)ない
  • 目上の人に対してに「先生」と呼ぶのはいいが、「あなた」とは呼べないし、もちろん、「君」、「おまえ」もダメである
  • 目上の人に対してに「あなた様」と呼べないことはないが、だいぶ使いにくい感じがする
  • 今では相手を見下しているときに使う言葉で「きさま」や「おまえ」という呼び方があるが、漢字で書くとそれぞれ「貴い様」、「御前(おんまえ)」で元々の書き方からすると、相手を上に置く言葉だったのではないかと考えられる。それが落ちてきて、現在は見下した言葉としか使えなくなっている
  • 「君」も(「君主」というような言葉から類推できるように)相手を上に置く言葉だったのではないかと考えられるが、落ちてきて、対等の立場の人か目下の人に対してしか使えなくなっている
  • 「あなた」という言葉は現在の日本語では対等か下の人に対しての言葉で、少なくとも上の人には使えない

 そのようなことに続けて、滝浦氏は、過去から現代で変わった相手を呼ぶ言葉の使われ方の変化から考えて、将来の日本語でも目上の相手のことを呼ぶ言葉や自分のことを呼ぶニュートラルな言葉などが相手を見下す言葉になるのではないかと予想されていることを紹介されていました。

( 当エントリーは下記のエントリーに続きがあります。

https://nodokavietnhat.hatenablog.com/entry/2019/03/21/203010

日本語の「あなた」や「私」など「誰が」ということを言わないで済ませるという特徴2

 もしよろしければ、上記のエントリーも合わせてお読みいただければ幸いです。)

 当エントリーをお読みいただき、ありがとうございました。お読みいただいた方々のご参考になれば幸いです。

 今後ともよろしくお願いいたします。

『日本語文型辞典 ベトナム語版』はおすすめです!

 みなさま、こんばんは。

 のどか日越クラブです。

 日本語教師をされている方々や日本語を学習する外国人の方々によく知られている『日本語文型辞典』というよく使われている文型をわかりやすい説明文と豊富な例文で解説している書籍があり、日本語を学習するベトナム人ベトナム語母語話者)向けの『日本語文型辞典 ベトナム語版』も出版されています。

 『日本語文型辞典 ベトナム語版』は、ベトナム人日本語学習者の方々の日本語学習の役に立つというだけではなく、日本語の文型から相応のベトナム語の文型や表現や例文を調べることができるということから、日本人の方々、日本語母語話者の方々でベトナム語を学習されている方々にも有用だと思います。

 日本ではくろしお出版から発売されているようです(ベトナムでも発売されています。大きな書店にはだいたい置いてあると思います)。

 書籍情報です。

http://www.9640.jp/book_view/?697

グループ・ジャマシイ(編)/村上雄太郎・他(訳)『日本語文型辞典 ベトナム語版』
 おすすめです!

 当エントリーをお読みいただき、ありがとうございました。お読みいただいた方々のご参考になれば幸いです。

 今後ともよろしくお願いいたします。

ドイツではドイツに来る外国人移民にどのような受け入れ体制を整えている?

 みなさま、こんばんは。

 のどか日越クラブです。

 金沢大学の志村恵氏という方が行った「ドイツの移民・難民向け統合コースに学ぶ」という報告会に参加された方がまとめたエントリーがありました。

https://note.mu/y_shiraishi/n/n8177e369849d

ドイツ「移住法」における「統合コース」について感じたこと

 興味深いエントリーですので、みなさまにもご一読をお勧めします。

 エントリーによると、ドイツに来る移民・難民は「統合コース」を受講しなければならず、「統合コース」は大きく分けると、ドイツ語を学習する「言語コース」とドイツの法制度、文化、歴史などを学ぶ「オリエンテーションコース」に分かれている、とのことのようです。

 言語コースは、『基礎言語コース300時間、上構言語コース300時間』(「上構言語」というのがよくわからないのですが、基礎言語コースより上級のレベルを学習するコースなのでしょう)からなり、600時間でCEFRのB1レベル到達を目標としている、とのことのようです。

 ドイツ語の学習時間として600時間がとられ、CEFRのB1レベル到達が目標とされていることにも驚かされましたが、エントリーの筆者の方と同様、ドイツの外国人移民受け入れプログラムのオリエンテーションコースが充実していることにはもっと驚かされました。エントリーによると、

 私が今回の話をうかがってまず驚いたのは、この移民・難民のための「統合コース」に「オリエンテーションコース」があることである。このコースの内容は、ドイツの法秩序(とくに国家の構造、州・地方自治体、法治国家、基本権、住民の義務)、ドイツの歴史、文化(とくに人間像、文化の多様性)であり、言語コースと合わせることで「ドイツに居住する外国人の経済的、文化的、および社会的生活への統合を促進する」ことを目指すとのことである。 

 とのことのようです。半年かけてドイツ語がB1レベルに達してからオリエンテーションコースを受けるということで、一方的になされる講義を聴講するだけというものではなく、ディスカッション等を交えながら考えつつ学ぶ、というもののようです。
 日本の技能実習生は滞在期間が定められていて、外国人移民として扱うかどうかは議論が分かれるところかと思われますが、上記のエントリーにも書かれているように、日本の技能実習生の事前研修でも、受け入れ当初に技能実習生向けに日本の労働法の説明があるとは聞いています。しかし、日本の労働法など多くの説明事項は日本語で行われるようで、日本語がそれほど上手でもない技能実習生は(やさしく言い換えるなどの能力を有する日本語教師でもない)日本人が難解な法律用語も含まれる日本語での説明を理解することが難しく、通訳者が不在であることも多いようで、形だけのものになっているケースが多いようだ、というようなことを聞いています(←大変すみません、機会があるようでしたら、技能実習業界関係者の方々に確認してみたいと思っています)

 大変勉強になる内容でした。

 なお、エントリーには、

http://id.nii.ac.jp/1300/00001126/

木戸芳子「移民のためのドイツ語教育:統合コースとドイツ語試験」 2017年

 という論文も紹介されているようです。ご関心、ご興味をお持ちの方々は、そちらの論文もご参照されるとよいかもしれません。

 当エントリーをお読みいただき、ありがとうございました。お読みいただいた方々のご参考になれば幸いです。

 今後ともよろしくお願いいたします。

冨田健次氏のインタビュー記事

 みなさま、こんばんは。

 のどか日越クラブです。

 数々のベトナム語に関する論文やベトナム語の基礎知識』などのベトナム語に関する著作で知られ、長年にわたり大阪外国語大学(現在は大阪大学)のベトナム語科で学生や研究者の育成に取り組んでこられたことで知られる冨田健次氏のインタビュー記事が掲載されていました。

https://asenavi.com/archives/19683

国際化は英語だけじゃない!第二外国語を学ぶ意義とは? ベトナム語研究の第一人者 冨田健次

 インタビュー記事で、冨田氏は『現代ベトナム語の7割が漢字語彙と言われているからです』とご指摘され、ベトナムの教育制度で漢字の学習を必修化し、漢字文化圏との経済的・文化的交流を飛躍的に高めることをご提唱されているようです。

 当エントリーをお読みいただき、ありがとうございました。お読みいただいた方々のご参考になれば幸いです。

 今後ともよろしくお願いいたします。

ベトナムでの技能実習業界ビジネスを取り巻く実態

 みなさま、こんばんは。

 のどか日越クラブです。

 2019年2月1日、共同通信社の平野雄吾氏という記者の方によるベトナムでの技能実習業界ビジネスを取り巻く実態を取材した記事が掲載されました。下記の記事です。

「拡大する仲介産業」「高額手数料」の背景に潜むベトナム「実習生ビジネス」

  ベトナム人技能実習生、技能実習生業界にご関心、ご興味をお持ちの方々、ベトナムや日本で技能実習生の日本語教育に関わっていらっしゃる方々、技能実習生に日本語をボランティアで教えていらっしゃる方々や技能実習生のご面倒を見ていらっしゃる方々、目の前にいらっしゃる技能実習生のことだけではなく、技能実習生を取り巻く実態をしっかりと理解しておくためにも、ご一読をお勧めします。
 ご参考までに、上記の記事で取り上げられているハノイ技能実習生送り出し機関は、一昨年(2017年)末、外国人技能実習生の問題を取り上げた「ガイアの夜明け」というテレビ番組が取材し、番組で(かなり好意的に)紹介していたところでもあるようです。

 当エントリーをお読みいただき、ありがとうございました。お読みいただいた方々のご参考になれば幸いです。

 今後ともよろしくお願いいたします。