日本語の「あなた」や「私」など「誰が」ということを言わないで済ませるという特徴1
みなさま、こんばんは。
のどか日越クラブです。
以前のエントリー
https://nodokavietnhat.hatenablog.com/entry/2019/02/02/110000
助詞の「へ」と「に」、「~へ行く」と「~に行く」というときの使い分け
でも取り上げましたが、放送大学の「日本語リテラシー」という授業科目があります。その授業の第11回の再放送の録画を視聴しました。
(2019年度にも開講されるようです。下記のURLに授業のシラバスがあります)。
https://www.wakaba.ouj.ac.jp/kyoumu/syllabus/PU02060200211/initialize.do
日本語リテラシー(’16) Literacy in Japanese ('16) 主任講師名:滝浦 真人(放送大学教授)
その「日本語リテラシー」の「第11回 考えるスキル③:考えを導く方法」で、言わないで済むのなら、日本語は「あなた」や「私」など「誰が」ということを言わないで済ませるという特徴があるのではないかということを指摘されていて、とても興味深く思いました。
以下にまとめておきます。
滝浦氏のお話によると、
- 日本語で相手を呼ぶ言葉はたくさんあり、「あなた」や「君」、「おまえ」などいろいろあるのだが、目上の人に対してスマートに使える言葉が(あまり)ない
- 目上の人に対してに「先生」と呼ぶのはいいが、「あなた」とは呼べないし、もちろん、「君」、「おまえ」もダメである
- 目上の人に対してに「あなた様」と呼べないことはないが、だいぶ使いにくい感じがする
- 今では相手を見下しているときに使う言葉で「きさま」や「おまえ」という呼び方があるが、漢字で書くとそれぞれ「貴い様」、「御前(おんまえ)」で元々の書き方からすると、相手を上に置く言葉だったのではないかと考えられる。それが落ちてきて、現在は見下した言葉としか使えなくなっている
- 「君」も(「君主」というような言葉から類推できるように)相手を上に置く言葉だったのではないかと考えられるが、落ちてきて、対等の立場の人か目下の人に対してしか使えなくなっている
- 「あなた」という言葉は現在の日本語では対等か下の人に対しての言葉で、少なくとも上の人には使えない
そのようなことに続けて、滝浦氏は、過去から現代で変わった相手を呼ぶ言葉の使われ方の変化から考えて、将来の日本語でも目上の相手のことを呼ぶ言葉や自分のことを呼ぶニュートラルな言葉などが相手を見下す言葉になるのではないかと予想されていることを紹介されていました。
( 当エントリーは下記のエントリーに続きがあります。
https://nodokavietnhat.hatenablog.com/entry/2019/03/21/203010
日本語の「あなた」や「私」など「誰が」ということを言わないで済ませるという特徴2
もしよろしければ、上記のエントリーも合わせてお読みいただければ幸いです。)
当エントリーをお読みいただき、ありがとうございました。お読みいただいた方々のご参考になれば幸いです。
今後ともよろしくお願いいたします。