のどか日越クラブ Nodoka Việt Nhật

日本国内でベトナム人労働者層に日本語を教えるための情報交換や意見交換、調査、研修を行うコミュニケーション・スペースをつくってみようと考え、このアカウントをつくりました。日本国内でベトナム語も適宜活用しつつ日本語を教える方法やベトナム人労働者層向きの教材調査・研究も手掛けたいと思っています。よろしくお願いいたします。

ドイツではドイツに来る外国人移民にどのような受け入れ体制を整えている?

 みなさま、こんばんは。

 のどか日越クラブです。

 金沢大学の志村恵氏という方が行った「ドイツの移民・難民向け統合コースに学ぶ」という報告会に参加された方がまとめたエントリーがありました。

https://note.mu/y_shiraishi/n/n8177e369849d

ドイツ「移住法」における「統合コース」について感じたこと

 興味深いエントリーですので、みなさまにもご一読をお勧めします。

 エントリーによると、ドイツに来る移民・難民は「統合コース」を受講しなければならず、「統合コース」は大きく分けると、ドイツ語を学習する「言語コース」とドイツの法制度、文化、歴史などを学ぶ「オリエンテーションコース」に分かれている、とのことのようです。

 言語コースは、『基礎言語コース300時間、上構言語コース300時間』(「上構言語」というのがよくわからないのですが、基礎言語コースより上級のレベルを学習するコースなのでしょう)からなり、600時間でCEFRのB1レベル到達を目標としている、とのことのようです。

 ドイツ語の学習時間として600時間がとられ、CEFRのB1レベル到達が目標とされていることにも驚かされましたが、エントリーの筆者の方と同様、ドイツの外国人移民受け入れプログラムのオリエンテーションコースが充実していることにはもっと驚かされました。エントリーによると、

 私が今回の話をうかがってまず驚いたのは、この移民・難民のための「統合コース」に「オリエンテーションコース」があることである。このコースの内容は、ドイツの法秩序(とくに国家の構造、州・地方自治体、法治国家、基本権、住民の義務)、ドイツの歴史、文化(とくに人間像、文化の多様性)であり、言語コースと合わせることで「ドイツに居住する外国人の経済的、文化的、および社会的生活への統合を促進する」ことを目指すとのことである。 

 とのことのようです。半年かけてドイツ語がB1レベルに達してからオリエンテーションコースを受けるということで、一方的になされる講義を聴講するだけというものではなく、ディスカッション等を交えながら考えつつ学ぶ、というもののようです。
 日本の技能実習生は滞在期間が定められていて、外国人移民として扱うかどうかは議論が分かれるところかと思われますが、上記のエントリーにも書かれているように、日本の技能実習生の事前研修でも、受け入れ当初に技能実習生向けに日本の労働法の説明があるとは聞いています。しかし、日本の労働法など多くの説明事項は日本語で行われるようで、日本語がそれほど上手でもない技能実習生は(やさしく言い換えるなどの能力を有する日本語教師でもない)日本人が難解な法律用語も含まれる日本語での説明を理解することが難しく、通訳者が不在であることも多いようで、形だけのものになっているケースが多いようだ、というようなことを聞いています(←大変すみません、機会があるようでしたら、技能実習業界関係者の方々に確認してみたいと思っています)

 大変勉強になる内容でした。

 なお、エントリーには、

http://id.nii.ac.jp/1300/00001126/

木戸芳子「移民のためのドイツ語教育:統合コースとドイツ語試験」 2017年

 という論文も紹介されているようです。ご関心、ご興味をお持ちの方々は、そちらの論文もご参照されるとよいかもしれません。

 当エントリーをお読みいただき、ありがとうございました。お読みいただいた方々のご参考になれば幸いです。

 今後ともよろしくお願いいたします。