斉藤善久氏の「外国人出稼ぎ労働者の受け入れ――改正入管法の問題点」という記事に関して
みなさま、こんばんは。
のどか日越クラブです。
1週間ほど前(2019年1月21日)に、神戸大学の斉藤善久氏が書かれた
https://synodos.jp/society/22389
外国人出稼ぎ労働者の受け入れ――改正入管法の問題点
という記事が公開されたようです。
斉藤氏が書かれた記事は全般的にわかりやすくまとめられている良い記事だとは思うのですが、いくつか気になった点もあり、(大ざっぱにですが)内容の整理も兼ねて記事を読んで気がついた点をまとめておくことにします。
- ベトナム人に関しては『技能実習生として日本に来る人たちと、(もっぱら出稼ぎ目的の)留学生として日本に来る人たちの間に大きな違いはない』とご認識されているようで、私たちの見解とも合致しています。
わかりやすくまとめられているとは思うのですが、技能実習制度の問題に関して触れている一方で、出稼ぎ留学生の受け入れの制度的な問題に対してはあまり触れられていないようであるのは、その点はやや残念に感じました。 - 斉藤氏は特定技能の在留資格に関して、『正面から外国人の単純労働者を受け入れようとする』点は評価しつつ、『外国人技能実習制度に内在する諸問題を引き継ぐばかりか、労働者保護の観点からさらに状況を悪化させかねない』点を厳しく批判されているようです。
- 斉藤氏は特定技能の在留資格に関して大きな問題点を4点挙げられているようです。1. 民間人材ビジネスの参入が容易。外国人技能実習制度の監理団体が届出制から許可制に改められた経緯に学んでいない点。2. 自己都合退職の場合は特別なサポートは考えられていない点。3.転居の自由が保障されるかどうか不確定な点。4. 労働者に対する公的な支援体制が不足している点。外国人技能実習制度における外国人技能実習機構以上に労働者の労働、生活、福祉面などを全般的にサポートする組織が必要であるのに、対応できるのかという問題。
- 斉藤氏は特定技能という在留資格を『外国人技能実習制度について、その問題点の検証も見直しも行わないまま、さらに屋上屋を架すかたちで、、使い捨て型の外国人労働者政策』と厳しく批判、技能実習制度の『「劣化コピー」』であり、『外国人技能実習制度と合わせて廃止』を提案されているようです。
- 斎藤氏は『ベトナムにおいては早くも既存の複数の送り出し機関が手数料6000ドルで希望者を募っており、日本の派遣会社の中にもすでに現地に進出を始めているところがある』とも書かれていて、そのようなことになっていることを十分には把握していなかったもので、参考になりました。
記事を読まれた方々も多いかとは存じますが、もし当エントリーをお読みいただいている方々でまだお読みでない方々、記事のご一読をおすすめします。
当エントリーをお読みいただき、ありがとうございました。お読みいただいた方々のご参考になれば幸いです。
今後ともよろしくお願いいたします。