のどか日越クラブ Nodoka Việt Nhật

日本国内でベトナム人労働者層に日本語を教えるための情報交換や意見交換、調査、研修を行うコミュニケーション・スペースをつくってみようと考え、このアカウントをつくりました。日本国内でベトナム語も適宜活用しつつ日本語を教える方法やベトナム人労働者層向きの教材調査・研究も手掛けたいと思っています。よろしくお願いいたします。

外国人タウン、大久保から新大久保にかけて、ざっと歩いてみました

 みなさま、こんにちは。

 のどか日越クラブです。

 2019年1月26日の日本経済新聞の下記の記事

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO40432920U9A120C1H11A00/

に掲載されていた「東京の様々な外国人タウン」という図に、東京都内で外国人が多い町の1つに大久保がピックアップされていたようです。

 先日、新宿駅で所用があり、そのついでに大久保から新大久保にかけての界隈を歩いてみました。下記の写真はみなさまもよくご存じであろう新宿駅です。

新宿駅

 新宿駅から中央線で1駅離れた大久保駅は、新宿駅と比べ小ぢんまりとした駅です。

大久保駅

 大久保駅近くに目立つ看板のハンコ屋がありました。

大久保、はんこ屋

 多くのベトナム人留学生を受け入れてるようである日本語学校も見かけました。

大久保、日本語学校

 台湾風タピオカ入りミルクティのお店の行列がすごかったです。

大久保、台湾風タピオカ入りミルクティ

 大久保から新大久保にかけては、スーパーやコンビニがたくさんありますが、そのようなところで、昔ながらのという感じの八百屋さんも数軒営業しているようです。

大久保、八百屋

 大久保駅周辺から少し離れたところには、ベトナム語の看板がある八百屋もありました。

大久保、ベトナム語看板の八百屋

 大久保、新大久保ともに送金サービスを行っているところが多いようです。

大久保の雑居ビル、送金サービス

 新大久保駅周辺です。買い物帰りなのか、野菜や肉が入ったビニール袋を持ったベトナム人を見かけました。

新大久保駅周辺

 新大久保には何軒もの韓国風チーズハットグ、韓国風チーズタッカルビが並び、若い女性客でにぎわっていました。

新大久保、韓国風チーズハットグ店

 新大久保の日本語学校です。

新大久保、日本語学校

 新大久保にはベトナム料理店やタイ料理店が数軒あります。

 新大久保、タイ料理店ベトナム料理店

   大久保から新大久保界隈の大通りを中心に歩いてみて、新大久保のチーズタッカルビやチーズドックのお店に若い女性が列をなしていたことが一番印象に残りました。

 時間帯が夕方前ということもあったのか、ベトナム人(正確には、ほぼ間違いないなくベトナム人だろうと思われる人、ベトナム語で会話している等々のことからそのように推測しました)は、それほど見かけず、30分前後歩いて10人前後にすれ違ったぐらいでした。

 以前、読んだ下記の記事

新大久保で増加するベトナム料理店 実は“ヘルシーじゃない”本場の味

に紹介されているベトナム料理店の前も通りましたが、残念なことに、今回は立ち寄る時間がありませんでした。

 多くの日本人の方々にとってベトナム料理はヘルシーだというイメージがあるようですが、実は(かならずしも)ヘルシーだとは言えないように思っています。上記の記事はそのあたりの事情をわかりやすく説明しているようで、とても興味深い内容だと思います。

 以前からあるベトナム料理店は元ベトナム難民の方々が経営されていることが多いようで、料理の味付けはベトナム南部かベトナム中部の味付けが基本のようです。最近数年間はベトナム北部出身者の来日が増加していることもあり、北部風の味付けのお店が増えてきているようで、お店に行ったことがある知人の方々から新大久保界隈のベトナム料理店は北部風の味付けのお店が多いようだとお聞きしています。

 今回は時間の余裕がなく立ち寄れませんでしたが、機会があるときにでも新大久保界隈のベトナム料理店にベトナム料理を食べに行きたいと思っています。もしよろしければ、みなさまもごいっしょにいかがですか。

2019年、ベトナムの新年のごあいさつ/ベトナム語の新年のあいさつ

 Chúc mừng năm mới! Chúc các anh chị, các bạn năm nay mạnh khỏe, may mắn!

 新年おめでとうございます。

 みなさま、今日はベトナムのテト(旧正月)の元日ですね。昨年はお世話になりました。新年にあたり、みなさまのご健康とご幸運をお祈り申し上げます。

 ベトナム語の新年のあいさつをご紹介したいと思います。

 日本語の「新年おめでとうございます」、「明けましておめでとうございます」に相当する言い方ですが、"Chúc mừng năm mới!"と言います。その後、「今年~を/~であることをお祈りします」に相当する表現を用いて、例えば、"Chúc chị Mai năm nay mạnh khỏe, may mắn."(「今年、Maiさんのご健康とご幸運をお祈りいたします」)のように言います。

 ベトナム人のご友人や知り合いの方々がいらっしゃる方々、ベトナム語で新年のあいさつをしてみませんか。

 Chúc các anh chị, các bạn ăn tết vui vẻ nhé!

# 下記のツイートを参照しました(Anh Sao co.,ltdさんからのご了解もいただいています)。

 

 

 

https://twitter.com/anhsao/status/1092610021718802432

https://twitter.com/anhsao/status/1092610021718802432

https://twitter.com/anhsao/status/1092610021718802432

助詞の「へ」と「に」、「~へ行く」と「~に行く」というときの使い分け

 みなさま、こんにちは。

 のどか日越クラブです。

 放送大学の「日本語リテラシー」という授業科目があります。先日、その授業の第10回の再放送の録画を視聴しました。

(2019年3月15日追記、2019年度にも開講されるようです。下記のURLに授業のシラバスがあります)。

https://www.wakaba.ouj.ac.jp/kyoumu/syllabus/PU02060200211/initialize.do

日本語リテラシー(’16) Literacy in Japanese ('16) 主任講師名:滝浦 真人(放送大学教授)

 その「日本語リテラシー」の「第10回 考えるスキル②:言えることと言えないこと」では、「~へ行く」と「~に行く」というときなどに使う助詞の「へ」と「に」の使い分けについて説明がありました。

 助詞の「へ」と「に」は同じように使える場合もあるのですが、「へ」は動作の方向を表す一方で「に」は動作の到達点を表す、言い換えると、「へ」は未接触の状態を表し「に」は接触している状態を表す傾向があるとのことのようです。「に」だと自然で「へ」だと不自然な例として、「ヨーロッパに到着する」は自然に聞こえるが、「へ」はそちらのほうに向かっているがまだその地点に触れていないという状態を示すため、「ヨーロッパへ到着する」という言い方は(やや)不自然に聞こえるのだ、というような解説があり、勉強になりました。 

 講師の滝浦氏のお話によると、現在の日本ではどちらでも使えるような場合「へ」より「に」のほうがよく使われている、とのことのようです。

 ご参考までに、以前ご紹介した『みんなの日本語』という日本語教科書(の第5課)は、「に」ではなく「へ」が使われているようです。

 当エントリーをお読みいただき、ありがとうございました。お読みいただいた方々のご参考になれば幸いです。

 今後ともよろしくお願いいたします。

日本語では「技能実習生送り出し」、ベトナム語では何と言うでしょう?

 みなさま、おはようございます。

 のどか日越クラブです。

 2019年1月初旬、ベトナムメディアがまとめた諸外国へのベトナム人労働者派遣に関する図解記事

Hơn 140.000 lao động đi làm việc ở nước ngoài

を日本語に翻訳した記事

http://www.el.tufs.ac.jp/prseas/src/read.php?ID=4717

14万人以上の労働者が海外で就労

が公開されているようです。

 日本語では技能実習生送り出し」と(業界関係者以外には実情がわかりにくいように)呼ばれているものは、ベトナム語では「労働輸出」(ご参考までに、該当するベトナム語は"Xuất Khẩu Lao Động"、または、"Xuất Khẩu Lao Động Nhật Bản"です)と呼ばれていて、より実態を反映した(わかりやすく直接的な)表現になっていることが興味深く思われます。

 当エントリーをお読みいただき、ありがとうございました。お読みいただいた方々のご参考になれば幸いです。

 今後ともよろしくお願いいたします。

斉藤善久氏の「外国人出稼ぎ労働者の受け入れ――改正入管法の問題点」という記事に関して

 みなさま、こんばんは。

 のどか日越クラブです。

 1週間ほど前(2019年1月21日)に、神戸大学の斉藤善久氏が書かれた

https://synodos.jp/society/22389

外国人出稼ぎ労働者の受け入れ――改正入管法の問題点

という記事が公開されたようです。

 斉藤氏が書かれた記事は全般的にわかりやすくまとめられている良い記事だとは思うのですが、いくつか気になった点もあり、(大ざっぱにですが)内容の整理も兼ねて記事を読んで気がついた点をまとめておくことにします。

  • ベトナム人に関しては『技能実習生として日本に来る人たちと、(もっぱら出稼ぎ目的の)留学生として日本に来る人たちの間に大きな違いはない』とご認識されているようで、私たちの見解とも合致しています。
    わかりやすくまとめられているとは思うのですが、技能実習制度の問題に関して触れている一方で、出稼ぎ留学生の受け入れの制度的な問題に対してはあまり触れられていないようであるのは、その点はやや残念に感じました。
  • 斉藤氏は特定技能の在留資格に関して、『正面から外国人の単純労働者を受け入れようとする』点は評価しつつ、『外国人技能実習制度に内在する諸問題を引き継ぐばかりか、労働者保護の観点からさらに状況を悪化させかねない』点を厳しく批判されているようです。
  • 斉藤氏は特定技能の在留資格に関して大きな問題点を4点挙げられているようです。1. 民間人材ビジネスの参入が容易外国人技能実習制度の監理団体が届出制から許可制に改められた経緯に学んでいない点。2. 自己都合退職の場合は特別なサポートは考えられていない点。3.転居の自由が保障されるかどうか不確定な点。4. 労働者に対する公的な支援体制が不足している点。外国人技能実習制度における外国人技能実習機構以上に労働者の労働、生活、福祉面などを全般的にサポートする組織が必要であるのに、対応できるのかという問題。
  • 斉藤氏は特定技能という在留資格『外国人技能実習制度について、その問題点の検証も見直しも行わないまま、さらに屋上屋を架すかたちで、、使い捨て型の外国人労働者政策』と厳しく批判、技能実習制度の『「劣化コピー」』であり、『外国人技能実習制度と合わせて廃止』を提案されているようです。
  • 斎藤氏は『ベトナムにおいては早くも既存の複数の送り出し機関が手数料6000ドルで希望者を募っており、日本の派遣会社の中にもすでに現地に進出を始めているところがある』とも書かれていて、そのようなことになっていることを十分には把握していなかったもので、参考になりました。

 記事を読まれた方々も多いかとは存じますが、もし当エントリーをお読みいただいている方々でまだお読みでない方々、記事のご一読をおすすめします。

 当エントリーをお読みいただき、ありがとうございました。お読みいただいた方々のご参考になれば幸いです。

 今後ともよろしくお願いいたします。

高嶋幸太『日本語で外国人と話す技術』を大ざっぱに読んでみての感想

 みなさま、こんばんは。

 のどか日越クラブです。

 高嶋幸太『日本語で外国人と話す技術』という本を(大ざっぱにですが)読みました。下記のURLに書籍情報があります。

http://9640.jp/nihongo/ja/detail/?770

高嶋幸太『日本語で外国人と話す技術』くろしお出版 

 『日本語で外国人と話す技術』という本、実は日本語教育の経験がない日本人、「やさしい日本語」の使用経験がない日本人と外国人労働者(に相当する層の人たち)が会話するときの参考になるかと思い、期待して手に取ったのですが、工場や建設現場、農家で働く外国人との会話の場面等はないようです。

 オフィスワークの場面で簡単な用事をお願いする会話例等はあるようですので、対象としている「外国人」として、外国人オフィスワーカーは含まれているが、外国人労働者は含まれていない、ということなのでしょうか。
 上記の書籍で参考になったところは、特定の場面の会話でそれぞれ1例ずつ失敗例と改善例が挙げられていることで、そのようなスタイルはわかりやすい例示のしかただと思いました。

 日本語母語話者が配慮してわかりやすく気をつけて話すという考え方自体は重要だと思いますし、ヨーロッパやアメリカ、台湾などから観光で来ている外国人と日本語で話すときには特定場面の会話で使われている表現も実際に役に立つこともあるのではないかと思います。

 当エントリーをお読みいただき、ありがとうございました。お読みいただいた方々のご参考になれば幸いです。

 今後ともよろしくお願いいたします。

『鶴見俊輔伝』に土居光知『基礎日本語』の概要が紹介されているようです

 みなさま、こんにちは。

 のどか日越クラブです。

 昨年(2018年)出版された『鶴見俊輔伝』という本を読みました。

 下記のURLに書籍の紹介があります。

https://www.shinchosha.co.jp/book/444409/

黒川創鶴見俊輔伝』新潮社

 その本を通じて1933年に土井光知氏という英文学者が『基礎日本語』という著作を出していたことを知りました。

 『鶴見俊輔伝』には、黒川氏による土居光知『基礎日本語』の概要が紹介されています。その一部を引用します。

 戦前に土居が著した『基礎日本語』は、むろんオグデンらのベイシック・イングリッシュに触発されてなされた仕事で、一千語の日本語を選んで編まれている。朝鮮・台湾・さらに満州といった植民地で現地人子弟への日本語教育の如何が議論されている時代であり、彼らと直接会話ができるようになるうえでの一助ともなれば、ということも、この試みの一つであると、土井は『基礎日本語』の「端書き」で述べる。 

 黒川氏は、土居光知『基礎日本語』に関して、『さらには、煩雑な感じ私用の負担軽減も、基礎日本語の目的の一つなので、これについてはローマ字表記を採用するのも一案であるとした。そのためにも、同音で意味が違う言葉は避けて、聞いてわかる言葉づかいにしていかなくてはならない』とも書かれているようです。

 最近注目されている「やさしい日本語」と土井氏が提唱された「基礎日本語」は関係があるのでしょうか。そのようなことも気になりました。

 

 なお、新潮社の『鶴見俊輔伝』のページ

https://www.shinchosha.co.jp/book/444409/

には、高橋源一郎氏による味わい深い文章が載せられています。2019年1月17日の朝日新聞の記事

高橋源一郎の「歩きながら、考える」)収容所の外国人、完了のない支配

でも、高橋氏は『鶴見俊輔伝』に触れつつ鶴見氏が発刊した「朝鮮人」という雑誌のことに言及しているようです。

 

 当エントリーをお読みいただき、ありがとうございました。お読みいただいた方々のご参考になれば幸いです。

 今後ともよろしくお願いいたします。